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第4回日本理学療法イニシアティブ研究会学術集会の開催に際して

大会長 渡辺 学(北里大学メディカルセンター)

 

 近年の脳画像技術の進展とともに脳機能の解明を目指す脳科学研究が隆盛を極め、日々多くの成果が報告されている。リハビリテーション分野においても、1996年にNudo博士によるリスザルの実験で損傷した脳神経に可塑性があることが報告されたことが大きな転機となり、脳卒中による障害は代償的な手段から機能回復を試みる方法へとシフトした。しかし、脳科学知見を基盤とするニューロ・リハビリテーションは、理学療法における臨床基盤に広く裏づけられているとは言えず、むしろ臨床とはかけ離れた知識として独り歩きしている感がある。
 そこで今回はテーマを『脳卒中理学療法のイニシアチブ -脳神経科学を脳卒中理学療法臨床にどのように活かすか-』とした。脳卒中の理学療法が対象とする基本動作に対して、現在明らかとなっている脳神経科学的知見がどの程度治療の背景となりうるかを議論することを目的とした

 講演は日々脳卒中に携わっている4名の臨床家にお願いすることにした。講演Ⅰの塚田直樹氏は国際ボバース講習会講師会ベーシックインストラクターの資格を持ち、急性期病院における臨床の傍ら、ボバース講習会での指導に携わっている。講演Ⅱの溝部朋文氏は脳卒中専門病院での臨床を行いながら、下肢装具のバイオメカニクス研究で著書を多く持つ。講演Ⅲの古澤浩生氏は、塚田氏と同様に国際ボバース講習会講師会ベーシックインストラクターの資格を持ち、回復期病院における臨床の傍ら、ボバース講習会での指導に携わっている。講演Ⅳの渡辺学は本学会長であるが、急性期病院で臨床を行いながら高次脳機能障害の研究を専門としている。4名の講師には日々の臨床と脳神経科学の知見をどのように結びつけているかを具体的に紹介していただく予定である。
 講演時間が短くディスカッションまでは至らないが、参加者が研究とは別に臨床でのイニシアチブを発揮できる機会となりうることが期待される。

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